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ベトナムにおける外資企業の銀行法人口座開設ガイド

ベトナムでの法人口座開設に必要な条件

法人口座の開設条件

ベトナムで法人口座を開設するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 法人登記証明書(ERC)のコピー
  • 投資登録証明書(IRC)のコピー
  • 代表者の身分証明書(パスポートのコピーなど)
  • 法人印鑑証明(必要に応じて)
  • 銀行所定の口座開設申込書
  • 口座開設時に入金するための現金(100万ドン以上)


銀行によっては、定款や印鑑証明書の提出が求められる場合もあります。事前に銀行と相談し、提出書類を確認しておくことが重要です。

法人口座の種類と選択肢

ベトナムの銀行では、外資法人向けに次のような口座を提供しています。

  • 資本金口座: 資本金の入金や運用に用いる口座で、企業設立時に必要です。
  • 運転資金口座: 日常の取引や経費支払いのための口座で、現地通貨のドン(VND)や外貨での取引が可能です。

外資企業は法人設立(ERCの発行)から90日以内に資本口座に資本金を送金する必要があります。

銀行の選定

国営銀行

1. ベトコムバンク(Vietcombank)
特徴: ベトナム国内最大手の商業銀行で、外資企業にも信頼性が高く、英語対応が充実している。多通貨対応、国際送金の利便性が高い。手続きも迅速で信頼度が高い。
ベトナム国内の銀行の多くも口座を保有しているため、1企業に1つはVietcombankに口座は持っておけと言われている。

2. ベトインバンク(VietinBank)
特徴: ベトナム商工会議所と提携しているため、企業向けに幅広いサービスを提供している。国内外で広く利用されており、競争力のある手数料体系。特に中小企業向けのサービスが豊富。
3. アグリバンク(Agribank)
特徴: 農業分野に特化している国営銀行で、地方地域でのネットワークが広い。 農業関連の企業や地方での事業展開に適しているが、都市部での対応は限定的。
4. ベトナム投資開発銀行(BIDV – Bank for Investment and Development of Vietnam)
特徴: 投資と開発に特化した銀行であり、大規模なインフラプロジェクトや建設関連のファイナンスに強みがある。投資資金の調達やインフラ関連の事業には最適で、特に大型プロジェクトを扱う外資企業におすすめ。
5. ミリタリーバンク(Military Bank, MB)
特徴: ベトナム国防省と提携しているため、安定性と信頼性が高い。 強固なセキュリティ体制と、法人向けサービスが充実。軍関連プロジェクトにも対応できる。

民間銀行

6. テックコムバンク(Techcombank)
特徴: 企業向けの柔軟なサービスで知られ、顧客ニーズに応じたカスタマイズが可能。
多通貨管理やデジタルバンキングに強く、国際的な送金やオンラインバンキングに優れた対応。
7. VIB(Vietnam International Bank)
特徴: 外資との連携が多く、グローバルスタンダードに沿ったサービスを提供。 法人口座の開設がスムーズで、外資企業向けのカスタマイズ可能なサービスがある。
8. サコムバンク(Sacombank)
特徴: 民間最大手の銀行で、ベトナム南部に強いネットワークを持つ。
中小企業向けのサービスが豊富で、都市部での支店数が多く利用しやすい。事業融資の柔軟性がある。
9. ACB(Asia Commercial Bank)
特徴: 都市部に強いネットワークを持ち、特にホーチミン市やハノイでのビジネスに適している。中小企業の支援に特化したサービスや、顧客サポートが優れているため、現地法人設立に適している。
10. ティモ(Timo Bank)

特徴: デジタルバンキングを主軸とする銀行で、銀行店舗を持たない完全オンラインバンク。銀行窓口の待ち時間がなく、オンラインで全てのサービスが利用可能。


OTP(ワンタイムパスワード)の設定と管理

OTP(ワンタイムパスワード)は、オンラインバンキングのセキュリティを強化するために欠かせない要素です。OTP設定を行うと、毎回の取引時に一度だけ有効なパスワードが送信され、不正アクセスを防止します。

1. OTP設定の申請

銀行でのインターネットバンキング利用時に、OTPの設定を行います。

OTP設定の申し込み:窓口で申し込むか、インターネットバンキングの設定ページから直接申請します。
OTPデバイスの選択:OTPコードは、SMSまたは銀行毎に専用のOTPアプリで受け取ることが可能です。利用しやすい方法を選択しましょう。

2. OTP設定の確認

OTPのアクティベーション:設定後、銀行からOTPが送信されるかテスト取引を行い、設定が正しく完了しているか確認します。申請時に入力したEmailや電話番号にアクティベーションコード(OTP)が届きます。
利用デバイスの登録:取引で使用するデバイスがセキュリティ設定済みであることを確認し、必要に応じてデバイスを登録します。

3. 取引時のOTP入力

取引確認:インターネットバンキングで取引を行う際、送信されたOTPコードを入力して確認を完了します。
失敗時の対応:OTP入力を3回以上間違えるとロックがかかる場合があります。再設定手続きは銀行窓口またはカスタマーサポートで行います。